【歴史修正主義の闇】沖縄戦「護郷隊」について、普天間第二小学校移転デマで悪名高い産経・宮本雅史が書いた愛国「小説」が、歴史・ノンフィクションとして販売されている件
産経・宮本雅史は沖縄の歴史修正主義と極右宗教活動で悪名高い宗教団体「幸福の科学」と「幸福実現党」の映像部隊 「The Fact」 でも大活躍。
ていねいに聞き取りを積み重ね、史料とつきあわせて、隠された歴史の真実に光を当てていく作業。まさにそれが沖縄の秘密部隊「護郷隊」の研究であっただろう。
沖縄戦の北部で展開した遊撃隊は軍の秘密部隊であった。隊長と陸軍中野中学の将校らと、そして多くが学徒隊、つまり少年兵によって構成されていた。
それらの実相が沖縄の歴史研究者によって丁寧に検証され世に出てきたのは、つい近年のことである。
ところが、現在、ネットで「護郷隊」を検索すると、産経新聞の元沖縄支局、宮本雅史の書いたポストセブンの記事やらが上位にリストアップされる。
予定調和的な「護郷」のための軍隊美談、お涙頂戴の愛国美談。そんなシンプルで「戦前的」な物語は、実は若年層には分かりやすいのかもしれない。
産経新聞の記者、宮本雅史による『少年兵はなぜ故郷に火を放ったのか 沖縄護郷隊の戦い』が、角川学術文庫から出版され、ノンフィクション、つまり歴史書、史実として販売されている件。
内容紹介
第2次大戦末期、沖縄北部地上戦を戦った知られざる少年秘密部隊、護郷隊。陸軍中野学校出身者の指揮の下、米軍侵攻を撹乱するため生まれ育った村を焼き払い、学校を破壊した少年兵たちの胸に去来した悲しみを描く。内容(「BOOK」データベースより)
しかし、
この「ノンフィクション」にでてくる三人の元・護郷隊の少年兵であったという三人の名前。諸見里繁尾、小波鮫正晃、金城康秀。
不思議なことに、何一つのソースもでてこない。護郷隊としての資料に名前がない。
産経新聞の宮本雅史は、どうやってこの元・護郷隊の三人に取材をしたのだろうか。
取材できるわけもない。
それは三人ともが、宮本雅史氏による空想上の人物だからだ。
つまりこの本は、ノンフィクションとして売り出し、そのような装丁で角川学芸出版から出版されていながら、れっきとした宮本雅史のフィクションである。
では、なぜ Kadokawa 出版は、産経記者による沖縄護郷隊をテーマにした『小説』を、ノンフィクションの装丁で出版・販売しているのか。
御社から今月刊行された宮本雅史『少年兵はなぜ故郷に火を放ったのか 沖縄護郷隊の戦い』、小説ですよね? 公式サイトを見ても本そのものを見ても誰しもノンフィクションだと受け取りますよ、これ。きちんとフィクションだと明示して下さい。不誠実はなはだしい。
@kadokawa_PR
事実とかけ離れた記述が頻出するので、さすが産経クオリティと思っていたら、最後に小説ですと小さく記されていてコケました。沖縄戦のノンフィクションに見せかけており、かなり悪質。
宮本雅史氏はこの「小説」を 2015年に出版しているが、
沖縄タイムスでは 2013年に名護市教育委員会文化課の川満彰氏による「やんばるの少年兵 護郷隊」というコラムが連載され、それまであまり光をあてられることのなかった護郷隊について、一挙に関心が高まっていた時期でもあった。
また四年がかりで研究者と制作に取り組んできたというNHKスペシャル『あの日、僕らは戦場で』という番組も 2015年に放映される。
タイムスにコラム連載されていた川満氏らのていねいな研究は、やがて 2018年に『陸軍中野学校と沖縄戦 知られざる少年兵「護郷隊」』(弘文館) として結実する。
このような時期に、産経新聞の記者が「護郷隊」をテーマにした「小説」を世に出したわけである。
いわば、沖縄の少年兵「護郷隊」を、便乗的に、軍国・護郷美談の物語として商品化したといっていい。
自分の郷土は自分たちで護れ、それが少年兵をゲリラ戦へとしばりつけた地獄の呪縛 (バインド)、実際には陸軍中野中学の将校らの目的は、少年兵を使って沖縄戦を長引かせることで本土決戦を遅らせることであったのだが、そんな呪縛と犠牲をさらなる愛国美談に仕立てる、この、救い難い軍国美談。
話題となった護郷隊をテーマに宮本雅史氏が書いた「小説」は、誰に取材し、何を史料として書いているのか、なぜ小説ではなくノンフィクションの装丁で、ノンフィクションとして流通しているのか。
こうした不誠実な記者としての態度は、かずかずの宮本雅史氏の記事でも証明されている。
2018年、名護市長選挙の九十時間後に米兵日本人救出美談が誤情報であることを認め、謝罪と記事削除したのは当時の産経新聞沖縄支局長、高木桂一であったが、
実は前任者の宮本雅史も選挙前に壮大な沖縄フェイクニュースを構築した。
この悪質なネットデマ。あるネトウヨブロガーですらが、ウヨ曲折の四度の検証の結果、行きついた先が、宮本の記事を悪質なデマ元だと断罪する。
ブログ主は、このブログに掲載された記事および「沖縄および北方問題に関する特別委員会」の質疑をチェックしましたが、平成22年1月の産経新聞の記事は安次富氏の証言だけを根拠に作成された、極めて信憑性に乏しい記事との結論に達しました。エビデンス(確固たる裏づけ)に欠ける実に無責任な内容と言わざるを得ません。だがしかし、この産経の記事は『狼魔人日記』など複数のブログなどで拡散され、左翼の人たちによって学校移転計画が頓挫したという誤解を招く結果になってしまいます。それゆえに記事を掲載した宮本雅史記者の責任は極めて大きいと断言せざるを得ないのです。
現在、宮本氏は、沖縄フェイクニュースでBPOから断罪されたあの DHC『ニュース女子』や『虎ノ門ニュース』、幸福の科学という極右宗教団体の講演会やビデオ出演などでも激しくご活躍である。
沖縄戦を学ぶときに注意しなければならないのは、沖縄戦は相当な歴史修正主義の歴史戦に巻き込まれているということだ。
意図的に歴史を修正し軍隊美談を模造しようとするものたちは、証言や研究を都合よく切り貼りして話を作りあげる。巧妙になってくると、模造がバレても問題にならないように、文末に小さくこれは「小説」です、などと付け加える。
であるからして、読む記事、読む文献ひとつにも、著者や出版元、出典などを確認する必要がある。特にネットは歴史修正主義の蒸留所だと考えた方がいい。
ネトウヨ・ハック・ライターの書物ではなく、長年のリサーチに裏付けされたジェニュインな書にあたることの大切さを若者たちに伝えてほしい。
陸軍中野中学と護郷隊に関して、長年の地道な聞き取りと研究をペースにして分かりやすくまとめられた基本文献としては、圧倒的に名護市教育委員会文化課の川満彰氏による『陸軍中野学校と沖縄戦 知られざる少年兵「護郷隊」』をお薦めしたい。
こうした素晴らしい研究が、歴史的に不明のままとなっている開南中学の学徒兵について、あるいは勤皇隊よりもひどい状況で戦場に送りこまれた低学年の通信隊についてなどにも研究の光をあて、歴史継承として人々に伝えてくれることを願ってやまない。
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