久米島「鹿山文書」1945年6月15日

 

「鹿山文書」とは

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通訳兵として沖縄戦に参加したハーバート柳村さんは、捕虜への尋問中に日本の軍人に殺された人が多数いたとの証言を聞いたと話した。日系二世の儀間真栄さんも、アメリアへの忠誠を試された1人だった。米兵として参加していた儀間真栄さんも日本兵によって殺された住民の焼死体を発見したことを証言した。その現場は沖縄の久米島だった。久米島の日本軍は降伏をせずに、米軍から逃げることとなったが、敗走する日本兵は30人あまり。山の中に存在する壕を拠点に逃げ回っていた。

糸満市にある沖縄県平和祈念資料館には、鹿山文書とよばれる指令書が保管されていたが、そこには敵のビラを持っているだけで、スパイとみなされ殺されることなどがかかれていた。

沖縄戦当時住民のリーダー格だった人が書いた日記には、米軍よりも日本兵の方が危険であることなどが記されていた。当時を知る人は、米軍のキャンプが隣に来ただけでスパイと疑われたことなどを証言した。

報道特集 2013年12月7日(土)17:30~18:50 TBS

 

 

1945年6月15日「鹿山文書」

琉球放送 戦後70年の地平から「久米島での住民虐殺」 - YouTube

 

「鹿山文書」

昭和二十年六月十五日
久米島部隊指揮官
      具志川村
      仲里村 村長 ・警防団長殿

 

*1

一、敵の一昨十三日夜間に於ける具志川村北原部民羅致事件は其の後判明せる處に依れば青、壮、老年の男子各一名の被害者を出し居れり

敵の目的か那辺に在るか窺はるヽものなり然れ共右三名か目的に叶へる者なるか否か當方としては疑問とすへき点あるに付ては敵か再度此の種計畫を実行するやも知れず と考へらるヽに付全島海岸に対する嚴重なる監視の必要を痛切に感ずると共に先日の 如き監視並報告に対する失敗か繰返さヾる様切望する次第なり

 

二、敵の一昨十三日夜間に於ける具志川村北原部民羅致事件は其の後判明せる處に依れば青、壮、老年の男子各一名の被害者を出し居れり

右羅致者に対する敵の取扱は圖り知れざるも當面の関係事項としては謀略的見地よりする條件付送還放免、戦略的利用として上陸作戦時の道案内並牒者とさるヽ事なり
故に右被害者か本島の如何なる場所に上陸帰島する共其の家族は勿論一般部落民との会話面接の絶対厳禁直に軍當局に報告連行のことに取扱ふこと

 

三、敵は謀略宣傳を開始する算大なり

依って敵が飛行機其の他よりする宣傳「ビラ」撒布の場合は早急に之を収拾取纏め軍 當局に送付すること

妄に之を拾得私有し居る者は敵側「スパイ」と見做し銃殺す


四、前記各號の報告に関し陸軍部隊陣地に近き所に在りては陸軍部隊に報告することを得


五、第一號第二號に関し其の主旨に相反したる場合関係者並責任者は軍則に照し厳重處罰す

(終)

 

[意訳]
1. 敵が一昨日13日に拉致した住民は、青年、壮年、老人の3名とわかった。敵がどのような目的で拉致したのか今は明確ではないが、再び、同じことがあり得るので、海岸一帯の警備を強化すると共にこのよう失敗を二度と侵してはならない。

 

2. 敵が、この三名をどうするのか不明だが、考えられることは、スパイを条件に島へ帰すのか、または敵の道案内として連れてくるのか、どちらかであろう。
したがって、三名が島へ帰ってきたら、家族はもちろん、部落の者にも一切接触させてはならない。直接軍当局に引き渡すことである。

 

3. 敵はこれから、,宣伝を強化するであろうから、敵の宣伝にのってはならない。敵の宣伝ビラ等が見つかれば、すぐさま軍に届けることである。もし、ビラ等を持っている者がおればただちにスパイとして銃殺する

 

4. 以上のことの報告は近くの軍部隊にすること。

 

5. 前記1と2に関して違反したときは、関係者と責任者は軍規に照らして厳重に処罰する。

 

 

 

*1:一、敵ノ一昨十三日夜間ニ於ケル具志川村北原部民羅致事件ハ其ノ後判明セル處ニ依レバ青、壮、老年ノ男子各一名ノ被害者ヲ出シ居レリ

敵ノ目的カ那辺ニ在ルカ窺ハルヽモノナリ然レ共右三名カ目的ニ叶ヘル者ナルカ否カ當方トシテハ疑問トスヘキ点アルニ付テハ敵カ再度此ノ種計畫ヲ実行スルヤモ知レズ ト考ヘラルヽニ付全島海岸ニ対スル嚴重ナル監視ノ必要ヲ痛切ニ感ズルト共ニ先日ノ 如キ監視並報告ニ対スル失敗カ繰返サヾル様切望スル次第ナリ

二、右羅致者ニ対スル敵ノ取扱ハ圖リ知レザルモ當面ノ関係事項トシテハ謀略的見地ヨリスル條件付送還放免、戦略的利用トシテ上陸作戦時ノ道案内並牒者トサルヽ事ナリ
故ニ右被害者カ本島の如何ナル場所ニ上陸帰島スル共其ノ家族ハ勿論一般部落民トノ会話面接ノ絶対厳禁直ニ軍當局ニ報告連行ノコトニ取扱フコト

三、敵ハ謀略宣傳ヲ開始スル算大ナリ
依ッテ敵ガ飛行機其ノ他ヨリスル宣傳「ビラ」撒布ノ場合ハ早急ニ之ヲ収拾取纏メ軍 當局ニ送付スルコト
妄ニ之ヲ拾得私有シ居ル者ハ敵側「スパイ」ト見做シ銃殺ス

四、前記各號ノ報告ニ関シ陸軍部隊陣地ニ近キ所ニ在リテハ陸軍部隊ニ報告スルコトヲ得

五、第一號第二號ニ関シ其ノ主旨ニ相反シタル場合関係者並責任者ハ軍則ニ照シ厳重處罰 ス