皇軍には「皆無」!? ~ 『隠されたトラウマ~精神障害兵士8000人の記録~』

 

Sleep no more,

Macbeth does murder sleep.

- もはや眠りはない。マクベスは眠りを殺したのだ -

William Shakespeare, Macbeth, Act 2 Scene 2.

 

イラク派兵の自衛官自殺率は一般男性のそれより低い !?

 

戦闘地域に自衛隊員を送りだし、日報を黒塗りする国家。

 

「米兵と一緒にいたら、殺されてしまう」

これは'05年、札幌市内の山林で、車のなかに練炭を持ちこみ自殺した陸自3佐・A氏が死の前に漏らした言葉だ。

どう考えても普通じゃないなんと自殺者54人! 自衛隊の「異常な仕事」(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

 

イラク派兵では在職中の自殺者だけで、56人。この数字にどう政府は向きあっているのだろうか。

 

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海外派遣の自衛隊員 自殺者数56人|日テレNEWS24

 

政府は5日の閣議で、2003~14年度の自衛隊員の自殺者数に関する答弁書を決定した。それによると、05、06両年度の自殺者はそれぞれ101人、04年度は100人だった。13年度は82人、14年度は69人となって低下傾向にあるものの、平均的な日本人に比べ自衛隊員の自殺が多い実態が明らかになった。阿部知子氏(民主)の質問主意書に答えた。

自殺者が100人以上の04~06年度は、イラク復興支援特措法に基づき陸上自衛隊イラク南部に、テロ対策特措法に基づき海上自衛隊がインド洋に派遣されていた時期と重なる。

答弁書が同時に明らかにした10万人当たりの自衛官の自殺者数は、04年度が39.3人、05、06両年度が38.6人。最も低かった14年度の29.1人を除き30人超となり、日本人の成人の平均23.7人(14年)を上回った。

 

「時事通信」2015年6月5日付 05、06年度は100人超=自衛隊の自殺者数-政府答弁書

 

それでも、イラクに派兵された自衛隊の自殺率は一般成人のそれより少ないのだ、と、佐藤正久参議院議員がブログ (2015) で主張している。
 
イラク特措法に基づき派遣された自衛官の「平均自殺死亡率」は、一般成人男性(20歳から59歳)のそれに比べて、「低い」ことが明らかになりました。計算方法や数値など、細部は下に示した資料をご覧下さい。

 

日本の一般男性よりも
自衛官男性のほうが自殺率が低く
イラクに派兵された自衛官男性はさらに低いと、
 
かなりミラクルなことを主張している。
まるで皇軍神話の再来ではないか。
 

皇軍には砲弾病は「皆無」!?

 
かつて「皇軍」には
欧米に見られるようなシェルショックは「皆無」だと、
そう「頼もしい報告」は主張していたが、実際には大ウソだった。
 

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沖縄戦、悪夢のシュガーローフでは、日本軍は素晴らしい戦いを戦ったなどとと語る者たちがいるが、漫画の世界のような英雄物語では戦争の実相は見えてこない。

 

人間は機械などではないが、その人間を機械のように消耗しようとするのが戦争である。

 

人間の心に戦場はどのような傷を与えるのか。

  

日本軍は、少年兵を前線に投入し、地元の住民を多く巻き込み、撤退する際には、捕虜の可能性になる者たちを生かしておくわけにはいかないという方針で、物理的に負傷した兵士たちを切りすてた。生き残った人々がどれだけ孤独と偏見のなかで心の傷と向かいあっていかなければならなかっただろう。

 

当時16歳で護郷隊に動員された瑞慶山さんは、後年、こう語っている。

 

戦争終わって2~3年ぐらいだったですかね。戦のことみんな思い起こしてしまってですね。戦争恐怖症みたいな精神異常者になって、独房にぶち込まれました、あんまり暴れすぎるちゅうことで。戦争ですから暴れるわけですよ。アメリカ兵に追われたとか、どうやるとか、みんな戦争のしぐさしますからね。そうすると、みんな相当悪い精神病になっているから。

かつて「護郷隊」とよばれた少年兵がいた - 「なぜ死ななかったのか」と日本兵は言い放った - Battle of Okinawa

 

沖縄戦の戦闘疲労症 (battle fatigue)

米軍の対応 - 第82野戦病院

一方で米軍は、第一次世界大戦の経験を踏まえて戦場に精神科医を送り込み、シュガーローフの死闘を展開しながらも、戦闘ストレス反応 CRS あるいは battle fatigue (戦闘疲労症) といわれる状況に追い込まれる兵士たちを、次々と後方の野戦病院に送り対応していた。

 

海兵隊員の野戦病院への転送が決まると、今度は病院が患者で溢れかえる現場が出てきた。すなわち、「シュガーローフの攻撃、そしてそのから確保に至る十日間の戦闘で、第6海兵師団は、実に2662人の戦死傷者をだし、1289人の戦闘疲労を出した。(中略) 非戦闘病者はおびただしい数になった。その多くが神経精神病、つまり『戦闘疲労症』であった。この種の患者は、海兵2個師団 ( 第1、第6)で、6315人陸軍4個師団(第7、第27、第77、第96)で7762人を数えた」という。

《『沖縄戦のトラウマ ~ 心に突き刺す棘』保坂廣志、紫峰出版 (2014) 沖縄戦と米兵の戦闘神経症 (pp. 242-243) 》

 

米軍がシュガーローフの10日間だけで1289人の戦闘疲労すさまじい数である。米軍は、また沖縄公文書館には米軍は野戦病院4~5人の精神科医と精神科を設け、組織的なチームをもって対応にあたっていた。

 

《参考論文》

2) 精神科医療組織の詳細

第31野戦病院と第69野戦病院には、移動精神科医チームから1人を派遣する。第36野戦病院は、第77師団に分属し、精神科治療を行う。各精神科医療施設には、6人の専門的知識をもつ衛生兵と最小限50床を持つ病棟を完備すること。しかし、この計画は、沖縄戦での多数の精神病患者(psychiatric patient)の発生により、不十分なものだった。その当時、各病院には、200人以上の患者が収容されていたからである。病院内には、レクリエーション施設が設けられ、赤十字職員が配置され、集団療法が行われた。また催眠剤使用よりは、精神療法、集団療法が準備されていた。ここで使用された諸技術については、本報告書の関連箇所で述べることとする。さて、沖縄戦での大量の精神病患者の発生により、精神的患者だけを収容する単独の野戦病院の設置が勧告された。第24師団の軍医であるLawrence A Potter大佐がそれを提案し、第82野戦病院の設立が決まった。
Title: 沖縄戦参戦米兵と戦争神経症 - Moses R. Kaufman Report及び Oscar B. Markey Report の抄訳を通して  (保坂, 廣志)

 

沖縄県公文書館にある米軍の記録写真のなかにも戦闘疲労症に対応する兵士と医師らの姿が記録されている。

 

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Battle fatigue patients at the 82nd Field Hospital. 戦場神経症の患者たち。第82野戦病院にて撮影日: 1945年

写真が語る沖縄 詳細 – 沖縄県公文書館

 

兵士は単に手を伸ばしているのではない。神経がひきつり、痙攣し、コップを持つことも難しくなる。痙攣し歩くこともできない。目や表情が制御できなくなる。戦場におくられた精神科医たちは克明に記録し、研究を続けた。米軍は兵士たちに、催眠療法やグループカウンセリングなどの治療を行っていた。

 

さらに詳しくはこちらを

 

neverforget1945.hatenablog.com

 

 

しかし、日本軍は戦争神経症に対してどのように対応してきたのか。

 

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皇軍には、欧米で問題になっているようなシェルショックというものは「皆無」である、と「学者」が「たのもしい発表」をしている。精神力があれば、シェルショックなど問題にならないといわんばかりだ。

 

しかし現実はちがった。

 

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❶ 隠されたトラウマ~精神障害兵士8000人の記録~  前編

 

 

日中戦争から太平洋戦争の時代、精神障害兵士が送られた国府陸軍病院。ひそかに保管された8002人の「病床日誌(カルテ)」が研究者よって分析され、日本兵の戦時トラウマの全貌が明らかになった。戦場の衝撃に加え、精神主義による制裁や住民への加害の罪悪感が発病につながっていたことが判明した。番組では発病地の多い中国での治安戦の実態を取材。戦後も社会復帰を阻まれた兵士と、その家族の姿をカルテをもとに追跡する 

 

❷ 隠されたトラウマ~精神障害兵士8000人の記録~  後編

 

 

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そして・・・

 

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